第11章 伝言と怯弱
イザベルはリサの家で夕飯をご馳走になり、お土産を渡されアジトへ戻ってきた。
『イザベル、リサは変わりなかったか?』
『元気にしてたぜ!暫く1人だったから寂しかったってさ。それに立体機動装置も思ってたよりも鈍ってなかったし大丈夫そうだ』
『…そうか。本当は俺が見てやりたいとこなんだがな』
近くにいたファーランにイザベルはリサからのお土産を渡す。ファーランが包みを開けるとまだ温かい蒸しパンのいい匂いがする。
『うっわ!美味そうー!』
『だろだろ!俺なんかリサの手料理食ったもんね!すんげー美味かった!』
2人がリサの手作りの蒸しパンで盛り上がってると、横からひょいとリヴァイが手を伸ばして1つ取る。
イザベルとファーランがリヴァイの方を向くと、リヴァイは既に蒸しパンを頬張っていた。
『……美味い。ミルクの入った紅茶の蒸しパンのようだな。たまにはミルクティーってのも悪くない』
二口、三口と進めていくリヴァイはあっという間に完食する。ファーランとイザベルも顔を見合わせて笑いあうと手作りの蒸しパンを食べた。
『それでイザベル、リサから何か聞き出せたのか?』
『兄貴の言ってたように誤魔化してるみたいだったけど、リサは隠し事してるな!』
両手に蒸しパンを持って食べているイザベルにリヴァイは食い過ぎだと取り上げる。
いつもならイザベルに食べ物は譲りがちだが、リサが作った物となると話が違う。空腹ではなかったがリヴァイはどうしても食べたくて、リサの蒸しパンをまた食べた。
『…わかった。リサが俺たちに何も言うつもりがないなら、こっちにも考えがある。次は俺が会いに行く』
蒸しパンを完食したリヴァイは自分のハンカチで指を拭く。
『待てリヴァイ。仕事はどうするんだよ。。次の段階に行かなくていいのか』
『…その件はファーランに任せる。お前1人でも行けるだろ』
『はいはい、分かりましたよ』
リサに会いたいんだな…とファーランとイザベルはリヴァイを見る。その視線を感じ取ったリヴァイは軽く舌打ちをして自室へ戻った。