第54章 鳥と花
『今日も空が高くって気持ちがいいですね!』
『上見ながら歩いてると躓くぞ』
朝日が登ると同時にリサは昨晩のダルさから無理やり体を起こし、身を綺麗にするとリヴァイも起こした。なんでそんなに体力があるのだろうかと不思議なぐらいリヴァイはさっさと身支度を済ます。
軽く朝食を済ませ、アーヴェンが用意してくれていた馬車に乗り2人は目的地であるウォールマリアを目指したのだった。
シーナからローゼ、マリアへと行くにつれて景色は華やかさから質素なものへと移り変わる。
高い建物は見当たらないが畑があったり、自然が豊かな風景になっていく。次第に馬車が走る路面もがたがたと揺れ、アーヴェンが昼食にどうぞと作ってくれていたお弁当が軽く跳ねていた。
馬車が到着する頃にはお弁当はリサの膝の上に避難されていて、リヴァイは何となく不機嫌そうだった。
『シーナとは違って緑がたくさん!!地下街じゃ、こんなにたくさんの緑はないですもんね』
んー!っと腕を伸ばし大きく息を吸うと、新鮮な空気を肺いっぱい溜め込みゆっくりと吐き出す。
やっぱり空を見上げるのが好きで、大きな雲がゆっくりと流れていて雲はどうして浮いていて空は青いのだろうかとそんな不思議な疑問を抱く。
チチチ·····と何処からか鳥の鳴き声も聞こえ何の種類の鳥なのだろうとふと思う。
『リサ、そのまま風に飛ばされそうだな』
『流石にそんな軽くないですよー。でもこの世界って色々不思議ですよね。立体機動がないと私たちは飛べないのに鳥は飛べて、空はどうして青いのかとか色々考えます』
『立体機動がなくてもリサならどこへでも飛んで行きそうだな。空が何故青いだなんて中々思わねぇ』
『新しい発見だったり、自分にしか出来ないことに憧れます。ただ生きることだけを考えていた日々から思えば、私の中で何かが変わったような気がします。それはいつかミッシェル家を継ぐという意識が芽生えたからかもしれません』
『リサはやはり地下街は似合わねぇよ』
『·····リヴァイさんも一緒に来て欲しいって言ったら·····来てくれますか?』