第51章 陽が指す方へ
『リサ!楽しんでこいよ!!』
『リヴァイも俺達のことは気にせずにな』
待ちに待った地上へ上がる日。
地上の空は想像がつかないが、差し込む光で晴れていることだけは分かる。
大きな荷物はない。
身軽で斜めにかける小さなカバンだけ。
そのカバンの中にはアーヴェンから貰った通行証が入っている。
『お前ら、留守を頼む』
『いってきます!』
近くの階段まで見送りに来ていたイザベルとファーランは2人に手を振り、リサも振り返す。
余所見しながら歩くなとリヴァイに手を握られ、驚きつつも嬉しくて笑う。
地上へ上がることもそうだが、リヴァイと上がれる。
いつもとは違う状況に心弾むリサとは違い、リヴァイは声は優しくも心は身構える。
──地上だって、治安がすこぶるいい訳では無い。リサは俺が守る。
*****
『通行証』
無愛想な男が早く出せと言わんばかりに手を動かす。リサはカバンに入れていた通行証を出すためにカバンの中を漁る。
慌てて出すとカバンの縁に当たり、ひらひらと2枚落ちてしまいリサは慌てて拾っていると、早くしろと言わんばかりに男は舌打ちする。
『・・・・・・おい』
舌打ちした瞬間、リヴァイも舌打ちをした。
はぁ?と男がリヴァイを見ると顔は青ざめる。
殺すような視線。という表現がぴったりな表情に男は冷や汗が伝う。
『あ、すみません!これ、2枚で!』
『あ・・・あぁ・・・。通っていいぞ』
急に態度が変わる男にリサは首を傾げる。
男はぺこっと首だけでリヴァイに挨拶をすると、ポンっと肩に手を置く。
『男らしく器が大きくないとな?』
『は、はいっ!!』
ピシッ!と男は背筋が伸びる。
行ってらっしゃいませ!と男は貼り付けたような笑顔で2人を見送った。
『・・・リヴァイさん知り合い?』
『いいや。あんな奴知らねぇな』
カツカツとリサを先頭にして階段を上りわリヴァイが後ろから付いてくる。
『・・・あいつ、リヴァイか。女と地上へ遊びに行くってか?いい身分だな』
男は近くの壁へ八つ当たりで蹴った。