第49章 通行証と髪留め
コンコン・・・
『はぁい!・・・イザベル?お昼ご飯今から作りに行こうと思ってからまだ何も作ってないよ?』
結局、リサは本来の家に帰らずアジトで用意してもらっていた部屋で住まわせてもらっている。
せめてもの手伝いとして、これまで同様に身の回りのことや料理をしていた。
そろそろ昼食の準備に取り掛かろうと部屋で髪をまとめていると、イザベルが部屋にやってきたのだ。
『それは知ってる!そうじゃなくて、兄貴が呼んでる!リサを呼んでこいってさ!』
『リヴァイさんが?ちょうどそっちに行くつもりだったから行こう!』
洗いたてのエプロンを片手にリサはドアに鍵をかけた。
『すみません!お待たせしました!』
『急かすように呼んで悪かったな』
ファーランは座りなよと向かいの椅子を指さす。
お昼ご飯は良かったのかな?とキッチンをちらりと見ると椅子に座る。切羽詰まった様子でもないが、改まった話がある。目の前に置かれている紅茶がそれを意味した。
『リサの調理もあるだろうから、さっさと話すぞ。リサ、これを見てくれ』
『これは?』
リヴァイの懐から出されたのは封筒だった。紐で括られた書類とは違い、印鑑も押されている。
『クララ・ミッシェルからですか?』
受け取ったリサは差出人がすぐにクララ・ミッシェルからだと理解する。真っ白な封筒で汚れがない。
『そうだ。差出人はあの爺さんだろうな。リサがあの野郎の所に行っている間にこのアジトに届いたらしい。この場所も教えてねぇってのに、あの爺さんは相当やり手だな・・・ったく』
『よくこの場所まで届きましたね。こんな質のいい封筒なら途中で奪われそうなのに・・・』
『だから、直々に届けに来たんだろ?封筒も綺麗じゃねぇか』
なるほど・・・とリサは納得する。
リサは中身を確認しようと、3人に目配せすると全員頷いたので、リサは封を開けた。
『・・・開いてる?』
『リサごめん!俺、何か怪しいものが入ってるのかと思って開けてしまったんだよ!』
『ううん。誰宛か書いてもないならそりゃ不信に思うもん』
地下街はそういう所。
ひらっと中の用紙を取り出すと、見たことも無い用紙が4枚入っていた。
『・・・・・・地上への通行証??』