第7章 縮めてはいけない距離
準備が出来た二人は外に出る。
地下街だけど、入り込む光でだいぶ時間が経っていることに気づいた。
『リサ、あんな洗い方だと綺麗にならないぞ』
『と、とりあえずは浸け置きしたので大丈夫です!リヴァイさん、こんな話をイザベルやファーランさんには言わないでくださいね!!』
『…了解した』
『その言い方だと心配です…』
心配するなと苦笑いしながらリサの額を指で小突く。あんな恥ずかしことを晒されるともう会わす顔がない。
『あっ!!ハンカチ忘れました!ちょっと待っててください!』
『あぁ。取りに戻ってこい』
ポケットの中にいつものハンカチがないことに気付くとリサは家へと戻る。
『今日もいるな。。探りいれる必要がありそうだ』
昨夜見た荷馬車が同じ場所に停まっていることに気付く。夜に見た時に比べてはっきり見える。深めの帽子を被り何かメモをしているようだった。
『リヴァイさん…?どうしました?』
『いや、何でもない』
鋭い目つきから少し緩めリサの頬を撫でる。優しい手付きにリサは顔を赤らめる。
『さっさと行くぞ。昨日みたいに背中に乗れ。時間がかかり過ぎた、少し飛ばすから落ちるなよ』
あの時のスピード感を思い出し、ギュッとリヴァイに背中から抱きつく。最初より距離が縮まったように感じたリヴァイは、口角を少し上げる。
『…やっぱ最後までしとくべきだったな』
リサのお尻を軽くリヴァイが厭らしく撫でる。
『リヴァイさん…!』
『耳元ででかい声だすな。昨日は意識しないようにしてたが、お前のケツや胸の感触にさっきのアレを思い出したら…』
慌ててリヴァイの口をガバッと塞ぐ。
『もう、ちょっと色々…心配です…』
強く塞ぎ過ぎましたとリサはリヴァイの口元から手を離す。
ククっとリヴァイは笑うとリサを背負い直し体勢を整える。
アンカーをアジトの方へ飛ばし地面から離れた。
『(……荷馬車も何処か行くようだな。追いかけるつもりはないってことか)』
リサに気付かれないように後ろを見ると荷馬車はこちらとは反対方向へと走って行った。