第47章 ファーストコンタクト
『兄貴は相変わらずリサへの独占欲がすげぇな!』
『リサがもし窃盗団に入ったらリヴァイのリサへの独占欲は更に増すのが目に見えてるな』
ファーランとイザベルは顔を見合わせてクスクスと笑う。リヴァイはふたりがただの冗談で言っているのを知っているから咎めることもない。
リサを窃盗団に入れる気がないのは出会ってから思っていた。一瞬の迷いで命が奪われる地下の生活にリサは優しすぎる。殺すことを躊躇してしまうようなリサには向いていない。
ならば、リサをこのままこの場所に置いていてもいいのか。
オレグはあれから何かをしてくる気配はない。
リサのことを諦めたのだろうか。
しかしリヴァイは新聞で見たオレグの言葉を忘れていない。
いつか愛する人を取り戻す
ということ。リサはオレグを愛していないし、自惚れでもリヴァイはリサが自分に惚れていると思っている。
言葉にせずともリヴァイもリサを愛している。
愛している人を危険な集団に置いておくことが良くないのは散々自答した。
温かな食事に空気。
衣服や装飾も年齢相応に楽しめる。
そして、愛を正直に言葉に伝えてもらえる相手。
『俺は・・・リサに甘えているのかもな』
髪をタオルでわしゃわしゃと拭きながら、コップに水を溜めると一気に飲み干す。
コトンとコップを置くと、小さな茶封筒が置いてあるのに気づいた。
『なんだ?誰からかの依頼でも来てたのか?』
茶封筒を、ひらひらとさせながら、ファーランに問う。
『あぁ、それ?リヴァイがアジトに帰ってきたと思ったらすぐにまた飛び出して行っただろ?』
『あの娼館付近で憲兵が数名いたって仲間からの情報が流れてきたからな。リサの身を案じてすぐ行った』
『その後すぐだったかな?その封筒がアジト前に置いてあった。中身はまだ確認してないよ』
そうか、とリヴァイはペーパーナイフでスっと上部を切る。何が入っているか分からない為、リヴァイは念の為に顔から離して封筒の中身を確認した。
『おい・・・これは・・・・・・』