第44章 膨れる想い
『リヴァイさん・・・どうしたんですか?』
リヴァイの頬に触れ鋭くも優しい瞳に自身を映す。いつも自信に溢れていた瞳が小刻みに揺れているようだ。
『何でもねぇよ』
瞬きひとつすると小さな揺れは戻り、いつもの強い瞳に戻っていた。
先の未来なんて誰にも分からない。
今はただ、瞳の先に映る愛しい姿を愛でていたい。
『リヴァイさん・・・好き』
『・・・・・・あぁ』
また、応えられない。
枕の上に扇状に広がる髪に艶っぽい表情に嘘偽りもない笑顔。応えられないこの瞬間だけが、いつも身を食いちぎられた様な痛みと絶望にかられる。
この言葉のあとの想いが伝わればいいと、リヴァイはそっと唇を重ねる。
『ん・・・』
リサは知ってか知らずか、微笑みながらリヴァイに応える。
軽いリップ音が鳴り、それがスタートの合図かのように体はより密着しベッドが軋んだ。
『ふっ・・・ん、んっ・・・はあっ・・・』
絶え間なく接する唇の熱にぞわぞわと全身に血が巡る。僅かに与えられる酸素を吸いながら、互いの口内を貪り最初の熱を味わう。
『もう蕩けた顔してんじゃねぇか・・・。すっかりヤラシイやつになったな』
体温が上昇して熱が出たような、蒸気したリサにリヴァイはリサの顎に指を添える。
『誰のせいですか・・・』
『・・・あぁ、俺のせいだったか。それは悪かったな』
思ってないくせに・・・とリサは笑いながらリヴァイの首に手を回す。リヴァイも口端を上げて唇を寄せた。
小さな唇をじっくり味わい、リサの耳に触れるとぴくっと反応する。
耳たぶを親指と人差し指で円を描くように撫でる。やわもちのような感触をリヴァイは楽しんでいるが、リサは指と耳たぶの摩れる音が伝わり血が耳に集まり熱くなる。
『片耳だけ、すげぇ赤くなってるぞ・・・』
『だって・・・。今日のリヴァイさん・・・なんだかいつもと違う。いつもはもっと・・・その・・・』
何か言いにくそうにモジモジとし出すリサ。
『いつも性急なのに・・・か?』
端正な顔がグイッと近づく。
リサは戸惑いながら頷いた。
『おいおい、盛ったガキみたいに言うじゃねぇか。・・・ゆっくりとリサを快感の底に導いてやるよ』