第40章 割れたティーカップ
再び軽く掃除を終わらすと今度こそはお茶を用意する。
暫く家を空けていた為、食べれるものは何もないが紅茶だけでも2人は十分であった。
───リヴァイさんと2人なら貧しくても、食べるものが少なくてもきっと幸せなんだろうなぁ。
リヴァイにも同じように思っていてくれてら嬉しいなぁと、口元を緩めながらリサはカップに口をつける。
ふと、向かいの椅子に座るリヴァイを見ると彼もまたリサを見ている。2人は目があうと何も言うことなく、微笑みながら紅茶をすすった。
喉を通る温かい紅茶はそんな2人の幸せのシンボルだった。
『そういえば、リヴァイさんは何故そんなカップの持ち方なんですか?』
『あぁ・・・これか?ガキの頃からの癖みたいなもんだ。あまり品がある持ち方じゃねぇけどな』
そう言って再び口を付ける。リサも真似をしてみようと少し温くなったカップを上から掴んで口につけてみる。
『・・・・・・手が鼻が当たって飲めません!え、なんで?あれ?』
『手の位置をもう少しズラせ・・・。ったく、普通に飲めばいいだろ』
『・・・あ、飲めた!!ちょっとコツがいるんですね!』
何が嬉しいのかリサはぎこち無く紅茶を飲む。リヴァイは自分以外がこの持ち方をして飲んでいるのを見るのは初めてで、自分でも思ったのがやっぱり変わった持ち方をしているのだなと認識する。
『リヴァイさんの持ち方好きです。リヴァイさんぽくって!』
『何だそりゃ・・・。まぁ、お行儀よくはねぇけどな』
リサはそう言うが、もしリサに恥ずかしいと思うような場面が出た時はどうだろうか。本来の持ち方にも慣れた方がいいのかと、リヴァイは手にしていたカップをテーブルに置き取っ手に触れ持ち上げる。
『・・・リヴァイさん、顔が険しくなってますよ?』
『いや、ちょっと昔を思い出しただけだ。気にするな』