第38章 リーダーとフラグ
『1・・・2・・・3・・・っと、ほらよ・・・今回の取り分だ』
リヴァイがソファでナイフを磨いている横でファーランは今回の仕事に参加した仲間の分の報酬を分けていた。
『はぁ?今回はこれだけかよ・・・』
『てめぇがしくじったからだろ!!ってか、ここはリーダーの計らいでいつも多いぐらいだろ?!』
向かいのソファに仕事に参加していたという若い男が座っているが、報酬額の少なさに文句が垂れる。
実際、依頼主がリヴァイ達に期待していた程の仕事の仕上がりではなく報酬も予定より減少した。
『チッ・・・うるせぇな・・・。てめぇ、気に入らねぇなら他で仕事探せ』
『うっ・・・・・・』
『リヴァイさん、駄目ですよー・・・そんな言い方しちゃ』
『あ、リサちゃん!!掃除お疲れ様っす!』
三角巾被り、ほうきを持ったリサが外の掃除を終え戻ってきた。文句を言った事の苛立ちよりも、リサの姿が見えるところりと態度が変わったことにリヴァイの苛立ちがチェンジする。
庇ってもらった男は嬉しそうに、うんうんと頷く。
リヴァイのこめかみに怒りのマークが見えた気がしたファーランはフォローする。
『リサ、今回の報酬はほんと分けるには少なかったんだ・・・。リヴァイがいないと失敗に終わってたぐらいで・・・それなのにリヴァイは自分の取り分までも分け・・・』
言い終わる前にリサが手をかざす。
ファーランの言いたいことはリサは分かっている。私利私欲の為だけにリーダーをやっているわけではないことを。仲間を動かす時はそれなりに渡す。自分の為に報酬が欲しい時は自ら赴き、ファーランやイザベルに協力してもらう。
仲間がやれそうな仕事なら回し、立体機動装置を使うような大きな仕事はリヴァイ達。
仕事の難易度、状況判断に長けているのは近くにいるようになったリサも目の当たりにしている。
そして、言葉の不器用さでリヴァイがこれ以上話してもこじれることも。
『今回の仕事に支障が出たのは私のせいです。私が無理言って用事を手伝ってもらったから・・・、だから、足りない分は私が用意します』
ポケットからがま口財布を取り出す。手持ちがある訳ではないが、少しぐらいならある。
『リサっ、お前が出す必要ねぇ!俺の役割だ』