第34章 襲い掛かる手
受付嬢は今日も葉巻を吸いながら気だるそうにしている。リサはお邪魔します、と立体機動装置を外しカウンターの隅に隠す。
面接?違います!を会う度にしている気がしたリサは少しうんざりしていた。
『残念!ローザが居なくなるから稼ぎ柱がいなくなって困ってるのよー』
『心中お察しします』
『つれない子ね。それで?ローザはもう行ったの?』
『いえ、私が装置外してくるのを待ってくれています』
『そう・・・。でも、そろそろ行かないといけない時間よね。地上で婚約者が待ってるんじゃないかしら?』
やっぱり・・・とリサは急いで外に出た。
『あ、戻ってきた。またあの子にスカウトされた?』
荷馬車に腰掛け、クスクスと笑いながら足をブラブラさせる。
『ローザさん、やっぱりもう時間なんですよね?婚約者の方が地上への入口で待ってるんじゃないですか?』
『あら、あの子が言ったのかしら。別に少しくらい構わないわ!リヴァイも急いで片付けるでしょうし、一緒に待っててあげる』
『ローザさんまで過保護になってませんか?ちょっと失礼しますよ!』
リサはローザの前でしゃがむと、細いローザの足首を持つとよいしょ!と足を荷馬車に乗せあげる。
『ちょっと!何するのよ!』
倒れ込みそうになったローザは両手を後ろで支え、リサを見ると荷馬車の後部にロックを掛けた。
『荒っぽくなってすみません。ローザさんは私に構わず婚約者さんの元へ行ってください。・・・ローザさん、お幸せに・・・。色々あったけど、お友達になれて良かったです』
『リサ・・・』
荷馬車を間に挟んでリサはローザを抱きしめる。少し涙声になっていたリサにローザも抱きしめ返した。
『私はリサの味方だから・・・ずっと。リヴァイに泣かされたら言うのよ!何かあったら駆けつけるから!と、友達ってそーいうもんでしょ?』
『ふふっ、ローザさんありがとう・・・』
顔を上げてリサはローザに微笑む。
最後にぎゅっと抱きしめるとローザは運び屋に行って・・・と指示する。
出発するとリサはローザが小さくなるまで見送る。
『リヴァイがアンタに執着するのがよく分かったわ。とてもいい顔で笑うもの。・・・またね、私のたった1人の友達・・・』