第32章 君の為の約束
『そ、そんな約束できません!!』
ガタンと立ち上がり、リサの振動で皿の林檎が揺れる。リヴァイ達はリサがそう言うのが分かっていたからあまり困った顔はしない。
イザベルはそらそうだよなーなんて呑気に林檎を食べるのを再開していた。
『リサ、分かって欲しい』
『ファーランさん!』
『・・・内容を変えるつもりはない』
『リヴァイさんも・・・そんな・・・』
リヴァイとファーランは断固として約束を変えるつもりはない。それはリサを守る為で、リヴァイを含め3人の思い。リサも自分の為に言ってくれているのは痛い程分かっていたが心が追いつかない。かと言って、リヴァイ達から離れて、憲兵達の目から隠れるように生きるのも出来ない。有無を言わせない状況にリサは手をグッと握った。
『リサ、お前を守らせてくれ』
『・・・・・・わ、わかりました』
真っ直ぐ見つめられる瞳にリサは頷く。
『すまねぇな・・・こんな選択しか与えてやれねぇで』
『リヴァイさん・・・』
『まぁ、そんな事になれば・・・の話だ。頭の片隅に置いて、普段はいつも通りにしていればいい。新聞の記事に関しても気にするな』
そうですね・・・とリサは林檎を摘むと口に頬張る。
甘いはずの林檎なのに味がしなくなった。
果汁で口内が潤っただけ。
──どうして守られてばっかりなんだろう・・・。
『私、自分の部屋に戻ってイザベルと約束したシュシュ作ってきますね』
薄く笑顔を作ると皿を片付け、軽く会釈をするとアジトを出ていった。
『リヴァイ、やっぱり約束の内容変えたほうがいいんじゃないか?逆の立場で考えても結構つらいぞ』
『駄目だ、これでいい・・・。リサは聡いから頭では分かってる。すぐにどうこうなる話じゃねぇし、あいつの中でゆっくり整理してくれたらいい』
『うぅ・・・シュシュ楽しみだけど、リサのすっげー笑った笑顔が見てぇなぁ~兄貴~!!』
『・・・・・・・・・』