第30章 俺の手によって(●)
『おーい!良い物があったの思い出したよ!』
『何があったんだ?』
『ファーランさん、いきなり出て行くからどこに行ったのかと思いましたよ』
午後の昼下がり。
今日は1日仕事がないというリヴァイ達はアジトで休息を取っていた。余るほどあるわけではない食材も、リサのやりくりのおかげでそこそこ不自由なく過ごせている。
カチャカチャとリサが洗い物してると、何かを思い出したかのようにファーランは飛び出すとすぐに戻り、片手には紙袋を持ってきた。
『この間の仕事の報酬のおまけだよ。今日は久しぶりに全員オフなんだし、今からってのもいいんじゃない?』
ファーランが紙袋から出したのはいかにも高そうなお酒。そして酒瓶のラベルに書いてある文字にリヴァイが1番に反応する。
『紅茶の酒・・・だと?興味が唆られるじゃねぇか』
『だろ?少し甘そうだし、女の子たちも飲みやすいと思って!普段俺やリヴァイが飲むような酒よりリサも飲みやすいかな?』
『俺は苦いやつ辛いやつは嫌いだー!!』
『私は何でも飲めますけど、甘いお酒にも興味あります!あ、何かつまめるもの作りますね!』
『リサ、洗い物終わったところなのにすまねぇな』
リサはにこりと笑って返事をすると、外したばかりのエプロンを首にかける。
甘めのお酒に甘いおつまみは合わなさそうなので、少しばかりの塩も使って芋の揚げ物風でカリッと焼いてみようと思った。リサが料理をしている間にリヴァイはテーブルを拭いたり、グラスやお皿を用意する。
そんな様子を見ながらファーランは、まるで自分が新婚夫婦の家に遊びに来た友人のようだと人知れずに軽く吹き出していた。
『お待たせしました!焼きたての間に頂いちゃいましょ!!』
『おー!すげーいい匂い!!ファーラン、早く酒瓶開けてくれー!』
ハイハイとファーランはコルクを抜くとポンッといい音がした。
4つのグラスに注ぐとイザベルがそれぞれの前に置く。
『ほのかに紅茶のいい香りがするな・・・。甘そうな気はするがアルコールも高そうだから、リサ気をつけろよ』
『大丈夫ですよ!アジトですし!いただきまーす!』