第26章 面白くない子
『おい、俺は立体機動装置の許可してねぇ』
『ファーランさんが許可してくれました。私の立体機動装置だから好きな時に使っていいそうです』
リサが立体機動装置で飛んできたのに気づくとリヴァイはスピードを緩め、リサに並走する。
少し斜め下にいるリサは立体機動装置すっかり慣れた様子で笑顔を見せた。
『リーダーは俺だぞ・・・』
『私は窃盗団ではないので序列は関係ありませんよ』
『・・・憲兵がいるかもしれねぇから、アジトで大人しくしてろ。オレグの件でリサを探してるかも知れねぇ』
『大丈夫!そう思ってこれも持ってきました』
ちらりと服を捲り上げるとリサの腰から鋭利な銀光が見えた。
リサはアジトを出る前に小さな短刀を持ってきていた。
『護身用か・・・。リサには人を傷つけるようなやつにはなってほしくない。だが、心構えは悪くない。それで、リサはどこに行くつもりだ?』
『散歩がてら用事です・・・』
何かを濁しているような言い方にリヴァイは引っ掛かりを覚える。だが、リサとはいえ全ての行動を制限することも出来ない。
今から行くところにリヴァイが行けば、リサのところに憲兵が現れる心配が減る。
『わかった。俺も用があるから終わり次第アジトに戻る。リサもその用事とやらが終わればすぐに帰れ・・・いいな?』
『はい。リヴァイさん、ちゃんとお話しましょ。あの時のリヴァイさん・・・何かおかしかったですから・・・』
────ナニしようと俺の勝手だ。
バツが悪そうにリヴァイはわかったと頷くとリサは満足そうにする。
『では、私はこっちなので!リヴァイさん、お気をつけてっ』
軽く手を振るとリサは振り子のように路地へとはいっていった。
『俺もまだまだガキだな・・・。それに比べるとリサはガキのくせに大人になっていきやがる。チッ・・・俺もさっさと済ませるか』
リヴァイは飛ばし目にその場から飛び去った。