第25章 出逢ってしまったから
薄暗い廊下をリサは呼ばれた男の後ろを歩く。
廊下に灯された明かりがたまに揺れ、影も揺らす。足音だけが響く廊下にリサが男に声を掛けた。
『さ、さっきの部屋で頬に怪我をしてる人がいました。何か冷やす物を渡してあげた方がいいと思います』
『そんな物は必要ない。あの娼婦が受け持つのはそういう客だ』
――――そういう客?
『地下街の娼館とはいえ、清潔さ、身嗜み、スタイル、顔…は重視する。上客になると女のレベルも上がる。金のないやつはないなりの女しか呼べない。あの女は胸はデカいが顔や身嗜みは駄目だ…ま、そういうことだ』
『酷い…。じゃぁ、殴られたってわけですか?』
『タチの悪い客になるとそういうことをするやつがいる。リサ、お前はよかったな。オレグ様のお気に入りならそんな事はされまい』
リサは何も答えることなく、ただ後を歩いた。
オレグとの諸事後、リサはいつもの水を飲む。
『オレグ様…お聞きしても宜しいでしょうか?』
『何だ?』
『オレグ様は私が今よりも醜い顔やスタイルや不潔なら御相手されませんか?』
思ってもみない言葉にオレグは目を丸くさせる。
顎に手を置きジッとリサを見る。
『そうだな…。リサは僕だけの娼婦だが、顔も体も気に入っている。誰にも触れさせない…、君がもし誰かを受け入れる日が来たら、僕は君を許さないだろう』
愛おしそうに冷ややかにリサを見つめる。
『リサ、君は…病に伏せる同居人が良くなる為に地上に出たいと思うかい?』
『おばあちゃんの為には地下街よりは地上のほうがいいと思います…ね』
『僕の意思は決まっている。リサが清いまま、僕の物ならね…叶えられるよ。くれぐれも…離れないように。話は終わりだ…今日教えた事を復習をしよう。さぁ、こっちへ』
ベッドサイドに股を開いて座るオレグ。リサは頷くと座るオレグの間にしゃがみこみ、教えられた行為をすることにした。