第21章 翼の幻
『あ、あのね!そのお兄さんは来られないの。このお兄さんも優しいから安心して?さぁ、中に入れてもらおかなー!』
子供たちとリヴァイの間に入り子供たちを家の中に入るように促す。リヴァイの性格からして子供が苦手そうだなぁとリサは苦笑いをした。暫く不満そうにしていたリヴァイは舌打ちをすると、リサの後を追って家の中に入った。
『ガキ共、親はいねぇのか?』
家の中は人影もなく静まりかえっていた。あまりの唐突さにリサはリヴァイの口を塞ごうとするが阻止される。
『いないよー。いつからいないか忘れた!弟が小さい時にいつの間にかいなくなってた!』
『僕、兄ちゃんいるから寂しくなーい!』
あっけらかんとした言い方に強がりも見えリサは涙が出そうになるが堪えた。
リヴァイはそうか…とわしゃわしゃと撫でると嬉しそうに兄弟は笑った。
『じゃぁ、この部屋は空き部屋だから、俺たち友達んとこ行くし姉ちゃん達はゆっくりして行ってよ!』
『そんなの悪いよ!何かあったら心配だし…』
『お姉ちゃん大丈夫!ファーラン兄ちゃんにお金貰ってたから友達のところでご飯ご馳走になるんだ!友達のお母さんがいっぱい作ってくれるって!』
初めて子供たちに会った時のことを思い出す。お腹が空いて元気や生気がなく、パン1つだけで喜んでいた兄弟。地下街のそんな子どもはこの兄弟に限らず多くいる。いつか制度が整い、地下街の子供たちを保護する日が来ることをリサは願った。
『……これもやるよ。これはお前たちの物だ、自由に使え…いいな?』
『え、いいの!?リヴァイ兄ちゃん顔怖いけど優しいな!リサ姉ちゃん男見る目あるぜ』
『もー、調子いいんだから~』
『わーい!やったぁ!』
ピンッとコインを2枚兄弟それぞれに飛ばすと、兄弟はわたわたしながら受け取る。
兄弟は行ってきます!と元気に出ていった。
『……なぁリサ、お前結構限界来てんだろ…』
『あはは…リヴァイさんには敵いません…』
扉が閉まると同時にリサは足が崩れ、倒れる前にリヴァイに支えられる。
『とりあえず、部屋まで連れていく』