第21章 翼の幻
うわぁぁと憲兵は落ちてくる樽を避ける。
リヴァイは隙を見てリサの元へ行こうと残り少ないガスを使い建物へ上がる。
『チッ、ガス切れかっ!』
プスッとガスの噴出力がなくなるが、ギリギリの所で手が届き片腕の力で飛び着地する。
手の汚れを払い落としながらリサを見ると、今度は木箱を落とそうとしていた。
『おい、ファーランと行けって言ったよな?』
『そうですけどっ…リヴァイさん放っておけません!……これ、重っ…』
『…細っこい腕してる癖に力あるんだな…』
『火事場の馬鹿力って…やつです!…えいっ!』
落ちましたー!と喜んでいるリサの見て、隠れた力を目覚めさせたような気がするリヴァイであった。
『まぁ、確かにお前が来てくれたおかげで助かった。ありがとうな』
『…少しでも役に立てたなら良かった。。リヴァイさん、今のうちに逃げましょ!』
リサの行いで下がパニックになっている間がチャンスだとリサはリヴァイの腕を掴む。
リヴァイは立体機動装置を付けているリサの装具を見てフッと笑うとリヴァイはトリガーを持ち直す。
そして、リサの装具に納まっているブレードにセットした。
『ほう…これが兵士の硬質ブレードか。調整している時から気になっていた。これが付いた立体機動装置が流れてくるのはレア物だからな』
『え…リヴァイさん、まさか…』
キラリとブレードがリヴァイの側で光った。
リサの予備のガスを自分の立体機動装置に装着する。逃げるだけのガスならリサが使用している分で足りる。
『手厚いもてなしをしてくれた奴らに礼をしてこないとな?』
リヴァイの後ろ姿には最強という言葉が似合う風格がある。
地下街だというのに、何処からか強い風が吹く。
『………翼?』
リサは目を擦る。
着ていないはずの兵服姿。
2色の翼の紋章のマントがはためいていた。
『リサはここにいろ。もう、投げ落とすな…当たると痛いじゃ済みそうにないからな…』
ハッとすると、いつものリヴァイの姿に戻っていた。
幻なのか呆けていたのかリサは自分の頬を軽く叩く。
『は、はい!』