第1章
の言う通り、『No Name』はメンバー全員が包帯で目元を隠している覆面バンドなのだ。
ボーカルは『L(リヴァイ)』といい、その圧倒的な歌唱力と、観客を「豚共」呼ばわりするドSぶりで、とてつもない人気を博していた。
ギターの『H(ハンジ)』はバンド内のムードメーカー兼トラブルメーカーであり、バンドメンバーも観客も振り回してしまうところがあるが、そんな破天荒なところも魅力の一つになっている。
これはファンの間では有名な話なのだが、マネージャーのモブリットさんはハンジにいつも翻弄されているという。だけど、大変な思いをしても、それでも支えたいと思わせるだけの魅力が彼らにはあるのだろう。
ちなみにハンジも中性的なルックスをしているため、男性なのか女性なのか判然としない。性別は公表されていないので、ファンの間では意見が真っ二つに分かれている状態だ。
ドラムの『M(ミケ)』は寡黙な職人タイプで、黙々と、だが正確で力強いドラムでバンドメンバーを引っ張っていってくれる。鼻が異常に良いことでも有名で、匂い当てクイズをやらせたら彼の右に出る者はいないだろうともっぱらの評判である。