第16章 報告の呼吸
「よく来たね依千…今回はとても大変だったと聞いたよ」
「気を失って目が覚めたら蝶屋敷だったからあまり大変っていう実感がないけど…」
あはは…と笑って話す
屋敷に着いたら縁側にいるというお館様とすぐに会うことになった
色々と労いの言葉をかけて貰えたけど、今回は事後処理をした柱の子たちの方が大変だったようだし…
私の怪我は時が経てば全快するし、そんなものだろう。という感じで言葉を返す
「それより手短に報告を済まそうか。あの場にいたのは上弦の参だった…妙に怒り狂ってて腹に風穴も開けられたから今度あったらやり返してやる」
「普通なら二、三ほど聞き返すような報告だね…」
「だって事実…どうしてあの鬼があそこまで怒り狂ってたか理由がわからなかったし…聞いてもまともな返答がこないし…なんか思い出したら腹が立ってきた」
「まぁまぁ…でもいくら相手が怒り狂い、依千の薬が抜き切れていなかったとはいえここまでの力差になるなんてね…」
私だって驚いた。今までここまでの力の差があったことがなかったから…
自分の力を過信していたわけではないけど、これは少し穏やかじゃない
長年鬼殺隊に従事してきたけど、上弦の鬼と対峙するというのはとても珍しいことで…因みに私は今回初めて出会した
「多分…考えられるのは人を食らったか食らってないかの差だと思う」
「上弦ともなれば、そこら辺の下級の鬼より人を食っているから…確かにそれなら納得がいくね」
「そして怒りによる原動力でさらに力は加算される…あの鬼の様子じゃ、また手合わせするだろうし…面倒だな…」
うーん…と唸りながら顎に手を当てて考える