第11章 急務の呼吸
「鬼の呼吸三ノ型、弥生ッ!」
地面から上空に切り裂くような斬撃で鬼の首を落とす
いつもより少々駆け足でその場の鬼の首を落として回る…のには理由があった
つい数分前に、鎹鴉から伝令があったのだ
何でもこの近辺に上弦の鬼らしき鬼が現れたとの報告があったのだ
近くにいる柱は急いで急行せよとの伝令が響き渡っていた
たまたま警戒地区の近くにいたため、おそらく私が一番乗りになる…が、雑魚鬼の多いこと多いこと…
「この裏切り者がぁッ!!」
「鬼の呼吸一ノ型、睦月!」
前方から三体の鬼が襲いかかってくるので、横薙ぎの一線で斬り伏せる
そのまま鴉の指示通りに森を駆け抜ける
近づけば近づくほど、全身の血が蠢く感覚がする
私の体には鬼舞辻無惨の血が濃く流れているらしい
本能的に反応しているのか…先程から胸騒ぎが止まらない
それでも足は止めることなく、ただ前進を続けていると
不意に目の前から強烈な威力で何かが飛んできた
「くッ!?」
刀で威力を流した…はずだけど、それでも刀が耐えきれずに折れてしまう
一瞬の出来事であったとはいえ…刀を一本無駄にしてしまった
すぐに二本目の刀を抜いて前方に注意を払う
「脆い…鬼でありながら鬼殺隊に属している鬼がいるとは聞いていたが…あまりにも脆い武器を使っているんだな」
「…上弦の参」
全身に紋様めいた刺青を施した、紅梅色の短髪を有する青年の鬼がこちらをじっと見ていた
その瞳には上弦の証である参という文字が刻まれている