第10章 足音の呼吸
給金はもらうものの使い道が殆ど無いので、こういう時はよく他の隊員にも同じことをしているのだ
義勇さんには多分初めてやったけど…
そのせいか目がよくわからない感情を表してる…
「…さて、年寄りの長話に付き合ってくれてありがとう義勇さん」
「見た目はそんな歳をとっていないだろう」
「嬉しいことを言ってくれるね!…私って傍目から見たら何才くらいに見えるのかな」
「年下に見える」
「えっ…本当に…?それはちょっとその…褒めすぎじゃない?」
義勇さんよりしたということは二十歳以下ということか…そんなに若く見てもらえるなんて光栄だな…
不死川さんとか小芭内さんとかには散々な言われようだけど…
まぁ無理もないのもわかってはいる…特に小芭内さんは鬼である私を柱の中では結構毛嫌いしている方だし
いくら関係を築こうが、相手の反応によりけりでその関係は進展しなければ良好になったりもするものだ
長い目で見届けるしかない
「じゃあ義勇さん。夜の任務お気をつけて」
「ああ…今日は、ご馳走になった」
「…また奢らせてね」
そう言って手を振る
少し頭を下げて、義勇さんは踵を返してその場から去っていった
てちてちという…謎の擬音を残して
「聞きそびれたけど…あの足音なんだったんだろ……ま、いっか…」
今日一番の、最大の謎を残して…今日という非番日和は幕を閉じた