第10章 足音の呼吸
「私は人を喰らえない現場にいたけど、禰豆子ちゃんは側にいた炭治郎を食らうことなく守りに入った…それだけで賞賛に値するよね」
「…お前はもっと…鬼に対して見境なく切り捨てるのかと思っていた」
「おっとっと?そっくりそのまま返させていただこうかな。でも義勇さんも最終的にはあの兄妹を助けたんだ…私と同じだね」
そう言って微笑む
義勇さんもきっと、あの兄妹からは何か特別なものを感じたから助けたんだと思う
私も、あの二人からは今までの人間とも、鬼とも違う不思議な雰囲気を感じた
そんな他愛もない会話をしているうちに、義勇さんは蕎麦と鮭大根を食べ終えている
「そろそろ出る」
「そうだね。お昼時だしお暇しなきゃ」
ここは私が払うから、と言って義勇さんがお勘定を出すより先に会計を済ませる