第4章 旅の呼吸
「炭治郎、この人が鱗滝左近次その人だよ。多分義勇さんの手紙が届いて、ここまで迎えにきてくれたんだと思う」
話してる途中で、足音の無い歩きで炭治郎に近づく鱗滝さん
「……お前は…妹がもし人を食らったらどうする」
「…え…」
紹介して早々、炭治郎と木陰でこちらを見つめる禰豆子を見比べて…鱗滝さんは試すようなことを口にする
その問いにすぐ答えを出せなかった炭治郎の頭を、コンっと持っていた枝で叩いた
「判断が遅い」
「す、すみません…」
流石育て…容赦無い…
でもまぁ鱗滝さんのあれは愛情からくるものだろうけど
何はともあれ助かった…思いの外時間を取られたからそろそろ夜が明けてしまう
「…鱗滝さん、貴方が来てくれたなら、後のことはお任せしてもいいですか?」
「元よりそのつもりでここに来た…お前は通常業務に戻るといい」
「…もう少ししたら日が昇るので助かります。何かあったら申し付けてください」
そう言って頭を下げる
生きてる年数は圧倒的に自分が上だとしても、この人は人として私よりも大先輩にあたる
お館様はまぁ、上司というより友達のような感覚なのでそこは置いておくとして
私のやることはここまでのようだ
「あの!…ま、また会えますか…」
「…君が強くなればいずれまた会うだろうさ。その時を楽しみにしておくよ」
そう言って炭治郎の頭を撫でる
この子からは優しくて、暖かくて、日の光のような気持ちのいい感じがする
鬼の私でも嫌な感じをさせない、太陽のような子供
どんな子に育つか楽しみだ
「じゃあ私はこれで。またね炭治郎、鱗滝さん」
手を振って来た道を戻ることにする
途中の道を曲がっていけば確か蝶屋敷に着くはずだ
外泊一泊してしまったから手持ちの〝薬〟が無くなってしまったし…いずれ行かないといけなかったからちょうどいい
夜が明ける前に、蝶屋敷に急いで向かうことにした