第1章 1限目
家に着き、部屋に案内される。
本当相変わらず良い家住んでるなコイツ。
かなり広いリビングだが、キチンと掃除もされているし、物も綺麗に揃えられている。
彼女の家だからか、彼女特有の蜂蜜だろうか何か分からないが美味しそうな甘い匂いが部屋中からして、少しクラクラする。
今はそんな関係ではないのに、襲い食べてしまいそうな変な気を起こしそうだ。
ダメだ、落ち着け、そう思い彼女に視線を移すと、どうやらコーヒーを淹れてくれようとしていた為、懐からウイダー◯ゼリーを取り出し、断りを入れそれを飲み干す。
よし、この作業で少し気分が落ち着いた。
彼女を見つめ話を促すと、過去についてから話してくれた。
あぁ、この子もまた親から押し付けられて育ったのだな、と。
だが彼女が道を踏み外し、敵にならずに済んで良かった、そこに関しては一安心をした。
それにしても…強個性だし、治癒持ちで貴重な逸材じゃねぇか…。
そんな彼女が個性を隠し、無個性として生きてきたのなら、とてつもなく宝の持ち腐れだ。
これは早々に会議にかけなければ…。
彼女に自分の職場である雄英に来て貰う約束を無理矢理取り付け、玄関に向かう。
この数時間でやる事がたんと増えてしまったのだ、急がなければ。
そう思ったのだが、彼女の昔と変わらない自分への対応に態度に変な気持ちになった。
忘れかけていた感情が蘇ったようで、あぁ、俺はまだお前が…。
なんて思うと途端に愛しさが溢れてしまい、無防備な累の唇を奪う。
口内を犯し、もっとしていたいが仕事が、と自分を戒めて部屋を後にした。
キスをした後の彼女の真っ赤な顔を見てひとり優しく笑う。
「あぁ、今日の俺は本当に合理的じゃないな」