第18章 猟奇の国のアリス/アリスパロ/色々キャラ
⇒ act.2 トゥイードル
重い扉を開け一歩踏み出してみれば、そこは深い森の中だった。巨木林がこれでもかと続き 生き物の気配がない。不安を胸に抱きながらも先を進んでみるしかなかった。
しばらく歩いた後、森の奥のさらに奥の方から聞こえてくる声にリネルは耳を傾けた。
「キルアのバカ!わからずや!石頭の単細胞!!」
「っせーなゴン やんのか?あ?」
ご丁寧に名前入り、やり取りだけで次の登場人物を理解した。初っ端のインパクトが強かったので 先の展開に心配はあったが この2人ならばむしろ自ら会ってみたいと思う。その声の主達の方にゆっくり近寄って行った。
「…うわ…、本物だ、ゴンとキルアだ」
少し離れた木に身体を隠し 二人の様子をキラキラした目で盗み見た。何やら派手に言い合いをしているが ポジションで言えば双子の小人 トゥイードルといった所だろうか。
顔は似ていないのに この2人が線対称にも見えてくる、それはおそらく白と黒のコントラストのせいだろう。白シャツに黒の蝶ネクタイのゴンと、黒シャツに白の蝶ネクタイのキルア。服装だけはきちんと同じある。
「バッカじゃねーの 右っつったら右なんだよ!!」
「左だって言ってるだろ!オレは左じゃなきゃ嫌なんだ!」
詳しくはわからないが喧嘩の内容は対したことではない気がした。もっとよく観察しようと身を乗り出すと、足元の小枝がパキッと微かな音をたてた。
ドンっ
衝撃音と共に 背中に強い痛みを感じる。細く目を開けてみれば その光景に心臓がどくんと音を出した。
「何者?」
静かな声でそう言うのはキルアであり、太い幹を背に リネルの身体は押し付けていた。 上からはハラハラと木の葉が数枚舞っている。
「……っ」
「答えねぇの?」
生身で見れば 息を飲む程に冷たく澄んだキルアの目、つい言葉が出なくなる。キルアは何かを探る風にゆっくりリネルに顔を寄せてくる。ドクドク早まる心音をそのままに 焦った顔をすることしか出来なかった。