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〈短編〉H×H

第59章 キスまで100㎜/若イルミ/裏


後ろの壁が出すあまりにも異常な音に、ビクッと身体が震えた。見れば顔の横をイルミの両手に囲われていた。落とされる影の中 戸惑いの表情を浮かべた。

「び、びっくりした…何 急に、」

「壁ドンてやつ?」

「えっ どこで覚えたの、そんなの」

「ニュースで見た。ドキッとした?」

「……ドキを通り越して、ビクッとした」

展開が急すぎるし力が強過ぎるだろうとツッコミたい。イルミは首を傾げながら リネルの顔を覗きこむ、その距離は約100mm。前髪がサラリと揺れていた。

「請求はこの通りに。いい?」

「……」

「いいよね?」

「……」

「お願い」

ああ言えばこう言う、こう行動すればそのように返される。そんなイルミは天然なのかわざとなのか、時々信じられないほどに策士だと思う。
可愛い顔を近づけられ 下手な壁ドンまでつけられて 拒否など出来るわけもなく。高額の小遣いでもあげたことにすればいいかと自分を納得させる。
100mmの距離の中で、小さく頷くことしか出来なかった。





fin
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