• テキストサイズ

〈短編〉H×H

第59章 キスまで100㎜/若イルミ/裏


その後。
リネルは目の前につきつけられる請求書を呆れた顔で見ていた。イルミの性格はよく知っているし、取り立てると言えばそうする事は想定内であったにしろ あまりにも当たり前にそう要求されるのはさすがに腑に落ちない。

「じゃあこれ 支払いよろしく」

「………」

「言ったよね?タダじゃないって。3日以内に振り込んでおいて」

詐欺としか言いようのない高額が記入された請求書を手のひらに握らされる。リネルは唖然と口を開けていた。

「いやいやおかしいよ!金額がおかしい!」

「オレをこの価格で雇えるなんて破格だと思うけど」

「そもそも明らかに同意の元だったよ…、」

「ヤるのと肉体操作はまた別の話だよ」

「…途中勝手に元に戻ったよね?あれ契約違反!」

「いっぱい突いて欲しいからまだイくなって必死に懇願してきたのは誰?」

「……っ!!言ってないもん!バカ!」

売り言葉に買い言葉とも言えるだろうか、つい口から出た暴言の後 イルミは一気にリネルに距離を詰める。じとっと見下ろされるのはどうにも威圧を感じるし 実は少し苦手であった。

「…なに…っ?!」

「払ってよ」

「や、やだ…っ」

「オレとの約束を反故にする気?」

イルミは合理的に成り立たない契約では動かないことは知っている。ただ 今回のことはそこまで本気で責められる事柄でもないように思う。
気付けば後ろは壁、囲まれるように前に立たれると リネルは簡単にイルミの影に収まってしまう。

「じゃあやり方を変えようかな」

「え?!」

「ここは素直にお願いすることにする」

バキバキと骨の軋む不穏な音の後、目の前には再び愛らしい頃のイルミの姿が現れる。縮む身体と比例し 顔の位置も近くなる。可愛らしい黒目をドキドキしながら見上げた。



ダン っ


/ 346ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp