第56章 次男の優越と苦悩/ミルキ目線/嫁夢主
そんな頃、結婚話がやってきた。
年齢で言えばイル兄からでその事例を十分見てきたからどういう経緯でどんな流れを踏まされるかは何と無く想像はつく。
親がどこぞのよくわからない 家柄だけが立派な女を見繕ってきて形式的に見合いをさせる。
うちは暗殺業なんてやってるけど一応は公式な民間企業扱いになってるからね。やってることは広く括れば代行サービスなだけで 利益に応じた税金だって国にたんまり払ってる。
更なる事業拡大、利益増大へのメリットがある相手と結婚させたいと思うのは親当然の考えだしね。言い換えれば兄弟全員は所詮ゾルディック家って組織に囲われた駒も同然なんだけど。
ま、やることさえやっておけば小遣いはたんまり貰えるし 毒なんか入ってて慣れるまでは辛かったけどメシも美味いしさ、居心地は悪くねーんだよ?その証拠に外出しようとすら思わねえしな。
そうそう結婚の話。
で、俺から見れば親の言いなり、もっと言えば家の駒であることにすら気付いていないイル兄は 二つ返事でどっかの財閥の女とさっさと結婚、そしてあっという間に独り身になってしまった。
その嫁と揉めたのかワガママでも言われたのか(?)まぁ詳しい理由は知らないけど なんかのタイミングにあっさり殺っちゃったらしくて。
さすがにそれを知った時 パパは何か言いたげだったけどね、ママは「弱い女はダメね」の一言で片付けてたけど。個人的には結果オーライかなとも思った、苛立つとかムカつくとか イル兄にもそういう感情めいたものがあるのかって思ってさ。
イル兄はあれで結構モテる。語弊があるかな、正しくは 兄貴の素性を知ってる女は財産目当てで寄ってきたりもする(肩書きは一応ゾルディック家の長男だからね。キルが跡取りってのは意外と知られてないんだぜ、これゾルディック家の豆知識)。