第1章 快感パラドクス/イルミ/ヒソカ/下ギャグ
蝋燭のように揺れるムードある明かりの下にはアロマディフューザーが飛ばす癒しの香りが舞い踊る。
今宵もぴたりとボディラインに添う薄桃色のナース風コスチュームに身を包む。太ももから覗くのは挑発的なガーターベルトで美脚を官能的に演出してくれる。掌を覆う極上のオーラもいい感じだ。
落ち着きある個室内で 今日もお客様の心と身体を癒す時間が始まる。
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「イルミ キミにとっての快楽ってナニ?」
「……………」
「気持ち良すぎてイっちゃった?」
念能力を織り交ぜたフェザータッチでもって ベッドの上でうつ伏せになっているリピーター客 自称「奇術師」の逞しい背をほぐしてゆく。隣の施術用ベッドからはしらりとした声が返ってきた。
「流石にコレくらいじゃイかないけど」
「それは良かった まだここからさ」
「あ、そう。」
今夜ヒソカが連れてきた友人から まじまじと視線を感じた。あえてわざと、深く腰を曲げ ヒソカの耳元に唇を近付けた。短いスカートから剥き出しになるのは自慢の丸いヒップ、尻の割れ目に食い込むレース地下着のチラ見せは特別大サービスだ。
ゴキリ、と関節の曲がる音がした。
「コラ♡よそ見はダメ♡わ・る・い・コ・ね」
その怪力でもって容赦無くイルミの首を仰向け真上に戻すのは隣の同僚だ。嗜める顔付きでさりげなく 豊かな胸をイルミの頭に押し当てていた。イルミは一旦大人しくなる。
邪な視線が去った所で ヒソカの耳元にヒーリングの放出吐息を発動させる。ふう、と優しく柔らかく 指の腹では肩の筋肉の凝りを辿る。
「…すごい…硬い…♡」
「くく、ヤりすぎかな」
「ヒソカさんてば ホントに敏感なんだから♡」
この男の事だ、恐らくはこの近くにある戦闘メッカでの連戦か はたまた大量殺人か。
ここは天空闘技場の近くに位置するリフレマッサージ店。戦闘や特殊仕事で身体を酷使する男性客へ 癒しと回復を提供する健全な場だ。お色気をコンセプトに置いてはいるが性的な施術は一切禁止されている。勿論する気も毛頭ない。ヒソカへ 仰向けになるよう促した。
「上乗っていい♡?」
「もちろん」