第1章 気になるあの人
ある日の放課後
最後の授業が終わり、荷物の整理をしていると教室の外から声をかけられた。
「星羅ちゃん、支度終わった~?今日は新聞部に来れるんだよね。一緒に行こうよ~!」
「あ。フェリシアーノ君、わざわざ呼びに来てくれたの?ありがとう。今行くよ。」
「ヴぇ~、やった~!星羅ちゃんと一緒なら俺、シエスタしないで済むからルートにも怒られないし、えっと・・・イッセキニチョウ?だよね!」
「ふふっ。フェリシアーノ君、またシエスタしようとしたんだ?でも、活動中はダメだよ?ルート君じゃなくてもそれは注意されちゃうからね。」
特徴的な声を上げながら可愛い笑顔を向けてくれる彼にこちらも思わず笑みが零れる。
そんな他愛ない話をしながら廊下を歩いていると、反対側から歩いてくる二人組が目に入った。
「おい!てめぇ、ふざけんなよ!今日は絶対に生徒会の仕事を終わらせるんだからな!」
「え~?別に急ぎの課題ないからいいじゃない。お兄さん、お前の眉毛より可愛い女の子見ていたいし~。って・・・あ!フェリシアーノに、星羅ちゃん?だよね。本当に可愛い子を発見しちゃった。」
そこに現れたのは校内でも評判の二人、生徒会長のアーサーと副会長のフランシスである。
「か、かわ・・・っ//////」
フェリシアーノもそうだが、ラテン系の彼らは挨拶のようにすぐ可愛いと言ってくれる。日本人としてはあまり言われ馴れないので戸惑う事もしばしば。
「ほら、そうやってすぐ恥ずかしがるのも本当に可愛いよ。アジア系の子達は奥ゆかしくて魅力的だよね。フェリシアーノもそう思うだろ?」
「うん!俺も可愛い子は好きだよ。でも、俺は星羅ちゃんだからだと思うな!」
「フェリシアーノ君、フランシス先輩。本当にそうゆう事言うの止めて下さい。」
恥ずかしさが限界で鞄を持ち上げ顔を隠すと
「お前ら、気は済んだか?レディを困らせるんじゃねぇよ。
ったく。ほら、行くぞ。チンチラしてねぇで歩け!」
呆れたような顔でこちらのやり取りを見ていたアーサーがフランシスに蹴りを入れながら再び歩き初めて
「ちょっ、痛っ。何がレディだよ。格好つけたって元ヤン丸出しじゃん!星羅ちゃーん、時間あったら生徒会室に来てね。美味しいおやつ出してあげるよ!」