【M】Memories of summer(気象系)
第5章 追伸
過ぎ去りし、あの夏の日。
『もう、ここには来ないよ』
ああは言ったものの、やっぱ気になるから。うん。
実は、また行った。
季節は春
ちょっと回り道をして、俺は彼女と出会ったあの浜辺に再び降り立っていた。
「あ~…。なんか…変わってねぇなぁ…」
元々周りに民家しかなかったけど、それ以外も何一つ、道路から見る構図も変化なし。間違いなくこの場所だ。…と思う。…たぶん!
その日の海は、とても穏やかで。そして、優しい色をしてた。
日差しも柔らかいせいか、潮風も頬を撫でる程度で、あの熱い夏の日が幻のように感じる。
もちろん彼女はいない。てか、誰もいない。そんな砂浜と海をぼんやり眺めた。
で、サンダルじゃなかったけど、俺は砂浜に降りた。
あの日、彼女が寝っ転がってたあたりに。