第1章 【爆豪】序章【派閥】
「爆心地ー! こっちは全部終わったけどー!! まだそっち誰かいるー??」
最後のひとりを丁寧に拘束し終え、籠から出るとそう叫んだ。返事はない。
俺は爆心地を探しながら歩く。奥まで行くと大きな幕が垂れ下がっていて、其処を潜ると中は他の場所より幾分か明るかった。思わず任務中は上げることのないヘルメットのバイザーを上げてそれを見る。祭壇のような場所に取分け煌びやかな鳥籠がひとつ、その前には爆心地が立っていた。中には美しい少女がひとり、爆心地を見上げていた。
俺はその宗教画のような光景に思わず言葉を失ってしまう。
すると爆心地は鳥籠を潜り、中のシーツで少女を包むと抱き上げて其所から階段を降りてくる。
「え? え! 爆心地、その子どうすんの???」
「連れて帰る」
「はぁ???」
「烈怒頼雄に連絡しとけ、俺は直帰だ」
「いやいや駄目でしょ! 何云ってんの???」
「うるっせェ!! 黙れクソがッ!!」
「お前だけの問題じゃねぇだろって話だよ! 彼処お前だけの家じゃねぇからね!!」
俺の言葉を無視して爆心地は少女を連れてその場を去っていってしまった。
ったく、マジでどうすんだよ。