第4章 【瀬呂範太】アネモネ【R-18】
範太くんが私を見下ろして笑う。
範太くんは自分のことを良く地味だと自虐する。私はずっとこの家に閉じこもっているので、それでもニュースでヒーローの勇姿は良く目にする。
一番名前を聞くのが平和の象徴と謳われるデク。次いで爆心地。ショートと云うヒーローの名前も良く聞いた。
ヴィランと戦い、救助活動もして、市民の為に活躍するヒーロー。
まるでヒーローとはこうあるべきものと云うような姿に救われた人も多いと思う。私もその一人だ。私を救い出してくれたヒーロー。
この三人ほどではないけれども漢気ヒーローの烈怒頼雄の名前も良く耳にした。何があっても倒れない、打たせて打つ格好良い武闘派。烈怒頼雄の戦い方は観ていて怖くなることが多く、鋭児郎自身大きな怪我をして帰ってくることも多いけどとても格好良い。
そしてヒーロー活動だけでなくバラエティなどにも引っ張り凧のチャージズマ。きらきらと明るい笑顔で人気のヒーロー。
ヒーローの仕事は脅威と戦うことばかりじゃないことを教えてくれる。
煙草を一度灰皿に置いた範太くんに私は頭を撫でられた。ふわりと煙の匂いが鼻をかすめる。
範太くんのことは良く分からない。