第9章 交差するそれぞれの思い《回想》
「でもね、私がいないとパパもママも寂しがるの。パパとママは私が守ってあげないといけないの。それに、やっと友達も出来たんだ。銀色の髪をした子なんだけど、江戸に遊びにくることがあったら紹介するね」
えへへ、と笑う未来を、目に涙を溜めた総悟は盗み見る
それに気づいた未来は総悟の頭を撫でた
「総ちゃん、私の分までミツバちゃんのこと守ってあげてね」
未来の目を真っ直ぐ見つめた後、うん、としっかり頷く総悟
「ぼく、強くなる。今度は絶対守ってみせる。だから…またここに来てよ」
「ふふ、じゃぁ約束だね。また三人で蛍見に行こうね。絶対」
目に溜めていた涙をぬぐい、子供ながらに意地を見せた総悟
そして交わしたその約束は、この先ずっと守られることになる
「いつか、未来ちゃんのいる江戸に遊びに行くね!これからもずっと友達だからね!」
ミツバは努めて明るく言った
弟が強くあろうとしているのに、自分が寂しがってはいけないと思ったのだ
そして、未来は江戸へ帰っていった