第9章 交差するそれぞれの思い《回想》
ミツバとはぐれてしまい、こうなった経緯を道すがら未来はコンドーに話していると、"未来ちゃん!"とコンドーに駆け寄るミツバがいた
未来の両親が先にミツバを見つけておいてくれたのだ
コンドーは目の前を走ってくる未来の両親に気づく
「未来っ!」
血に濡れている未来を見るや否や慌てる両親
コンドーは輩に絡まれ怪我を負ったことを話した
「えへへ…。でも大丈夫だよ、パパ、ママ。この人が助けてくれたの」
「娘を助けて頂き、本当にありがとうございました」
未来の両親はコンドーに深々と頭を下げた
未来はコンドーから父親へ抱き抱えられ、未来は近藤に笑顔を向ける
「コンドーさん、ありがとう!この手拭い、今度返しに行きますね」
元気そうな笑顔を向けられ、困ったような笑顔を返すコンドー
心配そうに未来を見つめるミツバ
その後ろに隠れて泣く総悟に気づき、未来は父親に地面へ下ろしてと頼む
地面に降りた未来は総悟に近づき、総悟の目線までしゃがみ頭を撫でた
「総ちゃん、もう泣かないで。私なら大丈夫だよ」
「…ごめん、なさい…」
「総ちゃんは悪くないよ。私が一緒にいたのに怖い目に合わせてごめんね。でも一緒に蛍見れて嬉しかったよ。怪我が治ったらまた遊んでね」
喉にこみ上げる熱で言葉が出なくなってしまった総悟は、涙が溢れる瞳で懸命に未来を見つめた
未来はその後、近くの診療所で治療し大事には至らなかった
その日の夜、未来たちの頭上には綺麗な花火が打ち上がった