第9章 交差するそれぞれの思い《回想》
夜の帳が下りる頃
町をあげてのお祭りで賑わっていた
未来は祭りの話を両親にし、家族三人で祭りが行われる神社の前まで一緒に出向いた
神社の前には浴衣を着たミツバと総悟が待っていた
神社から外には出ないと両親と約束し、未来はミツバたちと三人で神社の中へ進んでいった
「ねえねえ、せっかく夜に出てきたから蛍見に行かない?」
「行きたいっ!」
未来とミツバはどちらともなく話し始めた
総悟は黙ったまま姉たちについて行く
境内の裏手からいつものあの川へ向かうと、そこにはふわふわと漂う黄緑色の光景が広がっていた
「わあー!!」
キラキラと輝く蛍を映す未来の瞳
総悟は子供心ながらに、そんな未来を綺麗だと思った
「すごいね、総ちゃん」
蛍の光に興奮し嬉しそうにする未来にドキドキと胸が音を立てる
その気持ちが何なのか、まだ幼い総悟には知る術はなかった