第2章 .漂う手紙の終着点
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二人で甲板の端に座り夜空を見上げていた
『眠くないの?』
私は寝れないから大丈夫なんだけど、イゾウさんはそういう訳では無いだろう
煙管を吸いながらただ隣にいてくれるイゾウさんの姿はなんだか美しくて女である自分が情けなく思えてくる
イゾウ「そーいやぁお嬢」
『ん?』
前の返事をする訳でもなく煙管を口から離し喋り出したイゾウさん
イゾウ「さっきの歌、あれはお嬢が歌ったのかい」
きっとあの百人一首を私が作ったのだろうかと聞いているのだろうと解釈した私は首を横に振った
『あれは私の国の昔の人が歌った歌なの
13か14歳の時に習ったものなんだけどね、この歌は寝れない夜にふと思い出すの』
そう言った私はもう一度あの歌を歌う
『あしびきの山鳥の尾のしだり尾の
ながながし夜をひとりかも寝む
意味は山鳥のあのたれさがった尾のように長い夜を、私は一人で寂しく眠るのであろうか。
兄が3人いるんだけど、三人もと歳が離れてて仕事とかでなかなか一緒に居られる時間が無かった
それがすごく寂しくて夜が来るのが怖かった
また、長い長い夜を一人過ごさなきゃいけないのかってね』
それでよく泣いて小さい頃は兄さん達を困らせたなぁと懐かしく思った
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