第2章 .漂う手紙の終着点
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『かすり傷が多いだけでそこまで酷いものは無いね』
エース「それはちゃんと受け身とったり攻撃を躱したりしてるからな」
医務室に着けば中にいると思われたナースのお姉様はおらずガランとしていた
なのでエースさんの手当ては私がすることに
はぁ、ミカさんに教えて貰っといて良かった
(実は着せ替え人形になる前、ミカさんに基本的なことだけ教えて貰っていた)
『とりあえず、消毒して絆創膏貼りたいんでそこの奥にある水道で傷口に着いた血とゴミを洗い流して』
エース「おー」
部屋に備えられた水道で洗うようエースさんに言えば適当な返事と共に奥の水道のある場所に消えていった
その内に救急箱を取り出し手当ての準備に取り掛かる
中からは消毒液と消毒液を湿らせるコットン、ピンセット、キズ薬、絆創膏を取り出す
準備が終わって待っていれば奥からは水を流す音が聞こえてくる
水の流れる音が鮮明に聞こえ心を落ち着かせてくれる
まるで先程見た兄の顔を忘れさせるかのように、水という名の羽衣を上から被せ隠すように
『兄さんに会いたい...』
普段ならあのシスコン達に会いたいなんて思わないが、周りに兄は居ないしさっき見た愛兄の顔
そのせいなのかポロッと口から零れた一言
エース「会いに行きゃいいじゃねぇか」
洗い終わったのか戻ってきたエースさんはポロッと口から零れた一言を拾ってくれた
エースさんの顔をみれば優しい兄の顔をしていた
自分の兄の顔に重なったわけではなく、ただただエースさんの顔つきがまるで弟や妹を見る目になっていた
『会いに行けるなら行ってる』
エース「...ぜってぇ会える」
何を思ったのか、何を根拠にそう答えたのかは私には分からなかったけど、エースさんの顔はまさに兄という立場に立つ顔だった
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