第5章 .落花と記憶
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マルコ「随分と早い起床だな」
『目が覚めちゃって、
そういうマルコさんも早いですね』
砂浜に薄着、素足で座り込んでいた
七都の隣にマルコは腰を下ろした
何を思ってなのかマルコは七都の頭に手を置いた
マルコ「俺はアイツらみたいに酔っちゃいねぇからねぃ」
酒に強いのは知っていたが
島1番の酒豪アレンに付き合わされていたはずなのに
酔うことなく負かしてきたそうだ
『そんなお酒に強かったんだ』
現役の海賊は元海賊とはやはり違うようだ
太陽の光を反射した海がきらきらと輝いている
宝石が散りばめられた煌びやかな絨毯が
目の前にあるみたいで目を奪われた
『海ってこんなにも綺麗なんだ』七都はそう言って砂浜に寝そべった
いつか家族で行った海を思い出す
まだ7、8歳の小学生だったころだ
兄の目を盗んでは海に行って溺れるさま
その度に助けて貰って叱られたものだ
マルコ「悩んでるような顔だねぃ」
マルコの目は海を捉えていて七都を見ていなかったが
その表情は真剣そのものだった
『エースさんに言われたんだ、一緒に来いよって』
白ひげ海賊団の誰しもがエースと同じことを考えていた
だけど誰一人口にしなかったのは七都のことを思ってだった
ため息混じりの声が聞こえる「あのバカは直球すぎるよぃ」
だけどそこがエースの長所でもあることをこの長男は知っている
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