第5章 .落花と記憶
.
話は流れるがまま進んでいた
サッチはクムユの言った難しい言葉に顔を歪め首を傾げた
サッチ「迷人ってなんだ?」
そう聞かれたことにクムユはごめんなさいと言って、
なるべく分かりやすく答えた
クムユ「さっきの言葉、私の故郷に伝わるものなの
訳すとなれば、
来た道を失ったとき、
心を休めるために自らを迷わす
迷った人間は迷人と呼ばれ、
体と心は離れ心のみが迷う
失った道が切り開かれたとき、
心と体は再び出会うだろう」
つまり七都は何らかの衝撃を受け過去を思い出せなくなった、
そして衝撃を受けた心を癒すためにわざと自分を迷わせた、
あの子の場合眠りについたと言ってもいいかもしれない
あの子の体はここに存在しない、
心だけがここにある、
要するに心ここに在らずの反対かしら
過去を思い出して答えを見つけたとき、
あの子はやっと本当の居場所に帰れるのよ
.
.
よく分からなかった
何を言っているのか、何に悩んでいるのか、
クムユの言葉を理解するには難しくて
サッチはまた頭を悩ませていた
もう少し語学を学ぶべきなのか、
そう思ってしまえるほどクムユの言葉は理解するに難しかった
サッチ「あー簡略化しちまうと、
七都ちゃんの帰る場所は
ここじゃなくて他にあるってことでいいか?」
酒の入った頭で考えるのはここまでが限界のようだ
クムユ「ならもう答えを言うわ、
七都は今一部の記憶を失くした衝撃でここに存在している」
本当だったら七都はここにいるはずのない存在だってことよ
.