第5章 .落花と記憶
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この地を初めて踏みしめたあの時に戻ったみたい
でも、あの時より足取りは軽やかで視界も良好
あの日見えなかった気色が今は鮮明に目に映っていた
どうやってここに来たのか
そんなのは未だに分かっていないけど、
今がとても幸せに感じるから
まぁいいかなって思えてしまっている
クムユさん怒ってるかな
師匠はきっと落ち込んでいるんだろうな
村長なんてぎっくり腰になってたり
隣村にも心配かけちゃったかな
考えれば考えるほど
一人ぼっちだった私の周りにはたくさんの人がいて
愛されていたんだなって
あの時と何ら変わりのないコッコロ村にホッとした
だから、私もあの時と変わらずにこう言うんだ
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『あ、そこの車椅子のお姉さん!!』
だって、
私の成長した姿を見て驚いた貴女の顔を見たいから
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