第3章 .届かない想い
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あの日は私の14歳の誕生日だった
「「お誕生日おめでとうクムユ!!」」
クムユ「ありがとう!!」
私達の故郷は秋島[モクセイ]と呼ばれる小さな島だった
小さな島に比例するように島民の数も少なく、知らない顔は無い
島民が少ないためもちろん子供の数は少ない
所謂、少子高齢化と言ったところであろうか
毎年子供の誕生日は島民全体でお祝いしてくれる
だから私にとって誕生日という日は1年の中でとても特別な日だった
カホ「クムユお誕生日おめでとう、私からあなたへのプレゼントよ」
そう言って姉がくれたのは両手サイズの小さな正方形に橙色のリボンが可愛らしく結ばれていた
そのリボンをスルスルと解き、包み紙が破けないようにゆっくりと開けていく
クムユ「...きれー......」
中から姿を現したのは細かな装飾が施されたコサージュのような髪飾り
どこからどう見ても高級そうで少し戸惑った
クムユ「...」
両親の居ない私の唯一の血の繋がりは姉のみ
元々は良いところ育ちだったが、両親の居ない今はそうとはいかない
だからどう考えてもこんな高価な物を買えるような家庭ではないのだ
カホ「大丈夫よ、それは私の手作りなの
高価そうに見えたかもしれないけど」
姉が作ったものだと言われて驚いた
器用なことはもちろん知っていたが、ここまで器用だったなんて
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