第3章 .届かない想い
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クムユ「確かに最初は聞き間違えかと思ったわ、
自分の力がこんなものなんだから有り得なくはないって…
だけど、夢にまで出てくるなんておかしいじゃない」
アレン「夢ェ?」
初めて七都と出会ったあの日
あの子の声の他にもうひとつの声が私には聞こえていた
___この子を守って...
鈴が転がるような優しいその声には、どこか聞き覚えがあった
確証は無いけれど、亡くなった私の姉の声のように思えた
20年以上も前のことだから姉の声を思い出そうとしてもはっきりとは思い出せないが、その声を聞いた時に私の耳が、私の頭が「それは姉の声だ」と、そう訴えていた
でも姉がどうしてこの子を守ってと私に言ってきたのかが分からず、私はこの時自分の力のせいなんだと聞き間違えということにした
七都と過ごして2~3週間後の事だったと思う
私は夢を見た
夢なんて大人になってから見ることも減って、いつぶりだろうなんて思った
その夢に出てきたのは姉がまだ生きていた
私の足がまだ正常に動いていた
まだ平和に日々をおくれていた頃
2人で住んでいた赤い屋根の家
敷地内にある庭には幼い頃、両親に作ってもらった二人乗りの白いベンチブランコ
私はそのブランコの前に立っていた
そしてブランコには亡くなったはずの姉
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............カホが座っていたのだ
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