第21章 引っ越し〜相澤消太〜
「ほら、ここがお前の部屋だ。書斎にしか使ってなかったから好きに使え。送られてきた荷物は運んである」
「・・・・・・」
「他に何か足りないもんがあれば・・・・何だ?やけにだんまりじゃないか、そんなに嫌ならもっと抵抗すれば良かったんだ」
「いや・・・・そういうわけじゃ・・・それに、あの笑顔の時のパパに何言ったって通用しないって分かってるでしょう?」
「だったら諦めるんだな、どの道あの頭ん中お花畑夫婦は空の上だ」
そうあれから反論する余地なしのようにあれよあれよと手続きや荷物の整理に追われ、今しがた空港で両親を見送った後、そのままタクシーで消太くんの家へと出向いた
キャリーケースにも荷物を少し詰めてゴロゴロと引きながらメモに書いてあるマンションへと向かう
メモを見ながら、意外に私の家と消太くんのマンションが近いことを初めて知った
これだけ付き合いが長いのに華は消太の家に一度も訪れた事がない
仮にもヒーローだし、変な詮索はやめておこうと子供心に思ったのかもしれない
まさかこんな形で知るのも家に上がるのも予想していなかった
正直すごく戸惑っている、自分の恋心を終わりにしようと決めたタイミングでの同居、これは粉々に綺麗さっぱり終われという暗示なのか、
はたまたまだチャンスはあるかもの暗示なのか、どちらにせよ急展開すぎる!
自分的には学校で柱の陰からこっそり消太くんを覗いてじわじわと気持ちを整理しようと思ってたのにっ!こんなのコッソリどころじゃない!
ガッツりだ
「・・・・・おい、聞いてんのか?」
「・・・っ!うぉっふ!」
ぼーっとしていたのか、心配そうに消太くんがいきなり顔を覗き込むから、驚いて間抜けな声を出して驚いた
「その様子じゃ聞いてなかったようだな、同じ事2回も言うのは合理的じゃないんだが・・・」
「すいませんね、合理的にいかなくて、それで?なんて言ったの?」
「あ〜・・同居するにあたってルールを決めた方がいいと思ってな、その方がお互い気を少しでも使わないだろ」
「う・・・まぁ、そう言われたらそうかもしれないよね」
考え込む華に消太は まぁ座れというようにソファに座るように促した
華はキャリーケースを側に置いてソファに腰掛けた
その様子を見て消太も同じように座ると口を開いた