第20章 相澤消太〜両者〜
「ほら、あれだけ言ったのにやっぱり庇ったじゃないか、相変わらず華には消太、弱いよな」
ギシっとソファに深く座り直した秋彦は消太と華を交互に見やり、想定内という様に微笑んだ
「さて、本題なんだけど、本当はこっちから連絡して消太に今日来てもらおうと僕たちは思っていたんだ」
いつの間にか秋彦の隣に絵里は座っていて、秋彦と目配せするように微笑んだ
その様子を2人は頭に疑問符が浮かび上がるくらいに首を傾げた
「実は僕の海外転勤が決まったんだ」
それはずっと秋彦が希望していた事であって夢だった
「そうなの?!!おめでとう!パパの夢だったもんね!いつに行くの?」
嬉しそうにする娘の様子に少し照れたように頬を秋彦は掻いた
「ありがとう、そうだなぁ、色々準備して1週間後って感じかな?それで絵里も一緒について行くことになったんだ」
「ふふっ、ママ 秋彦さんと離れるなんて死んじゃうわ」
「僕も君と離れたら夜も眠れないよ」
甘っ!自分の親ながら砂を吐くように甘い
幼い頃から大恋愛をして結婚していたのは華も耳にタコが出来るくらい聞いていたし消太もまた、散々ノロケ話を昔から聞いていた。
だから今更目の前で砂を吐くような甘い空間にも慣れてしまった。
「はいはい、じゃあ私はこの家で1人暮らしになるのかぁ〜」
ママがパパと一緒に行くというのなら必然的にそうなる
華は1人だとかなり広さのある家を見回した