第15章 アイスクリームの様に甘く〜緑谷出久〜体育祭後〜
「え〜別に僕たち幼馴染なんだから嫌がらなくてもいいじゃん」
「そういう問題じゃなくて、幼馴染でもしないものなのっこんなとこ出久の事を好きな子が見たら勘違いしちゃうから」
ブンブンと取られた手を離そうと必死になる彼女の手を掴んだまま
「勘違いでも何でもいいよっ、だって僕ずっと華ちゃんしか見てないからっ!」
「・・・へ?」
ブンブンと振っていた腕がピタリと止まる
「それは私が危なっかしいから?」
「違うよ、僕、華ちゃんの事1人の女の子として見てるよ。今も昔もずっとずっと華ちゃんだけ見てた」
「う・・・う・・あの」
「華ちゃんが僕の事を幼馴染としか今は見てなくてもいいんだ、でもこれからは華ちゃんの事を好きな僕として見て」
そう言いながら華ちゃんの手をぎゅっと握るとビクッと肩が反応した
「あの・・・その・・・出久がそんな風に想ってくれてたの全然思わなかったから・・・ビックリして」
それはそうだろう、ずっとそんな素振りも見せずに側にいたのだから
でも、もうそれだけじゃあ足りないんだ
「うん、分かってるよ。でもこれだけは分かって?」
もう一度、ぎゅっと手を握るとじっと華ちゃんの顔を見つめた
「僕は何があってもどんな選択をしても君の隣にいるよ。」
「い・・・出久・・・・。」
揺れている彼女の目を見つめながらニコッと出久は笑うと、ゆっくりと手を下ろして引っ張るように帰ろうと促した
別に今すぐに好きになって欲しいなんて思わない
ずっとずっと好きだったんだ
ゆっくりと満たしていけばいい
気持ちを言葉にしたら何だかスッキリとした
これからは遠慮なんてしないよ
君のこと、どれだけ好きか沢山話してあげる
アイスクリームのようにドロドロに溶かしてあげる