第15章 アイスクリームの様に甘く〜緑谷出久〜体育祭後〜
〜華目線〜
今日は雄英体育祭が始まる。生徒にとってビッグイベントのひとつで注目度も高い
あれから何度か出久とは帰ったりお昼を食べたりしたけど、あれ以来何の変化もない
ただやっぱり慣れなくて出久くんと呼ぶと悲しそうな顔をするので慌てて呼び直すと嬉しそうに笑う
そんな日々が続いて体育祭当日、珍しく出久の方から華の教室へと顔を覗かせた。
「あれ?出久どうしたの?もうすぐ入場でしょう?」
ジャージ姿の出久を見て、パタパタと小走りで出久の元へ駆け寄ると首を傾げた
「始まる前に華ちゃんの顔が見たくて」
へへっと笑う様子につられて笑ってしまう
出久は自分の拳を握りながら真剣な表情で華を見ると
「僕、頑張るからねっ」
と告げると、ぐいっと華の腕を引っ張り耳元で
「僕のことちゃんと見ててね」
とボソリと耳元で囁かれて、思わず耳が赤くなる。
赤くなった耳を押さえて何か言おうと口を開いたら「じゃあね」と言って走り去ってしまった
そんな出久の後ろ姿見つめながらポツリと呟く言葉は空に消えた
「そんなの・・・急にズルイ・・・」