第12章 俺だけ見てろ〜爆豪勝己〜体育祭前
「馬鹿かっ!テメーはっ!何またアブねー奴のとこに戻るんだよ!連れて行かれたいんかっ」
「ちょっ!私もそんな毎回毎回戻ってなかったもん、煙玉投げた後に爆発音がした時だけだもん」
最初は煙玉が不良品で爆発したのかと思って心配で戻ったという
「ん〜でもそんな感じじゃないし、なら爆発なら爆豪くんが守ってくれたのかなぁって・・・・」
ぽりぽりと照れながら頬をかく華に嬉しさが込み上げてきた
「あの時は感謝してます。ありがとう」
ペコリと素直に頭を下げる姿に照れ隠しのように爆豪はまくし立てる
「そ・・・そうだっ!俺が助けてやったんだから感謝しまくれっ!そして崇めろ!」
「それは嫌だ」
ボソリと呟かれた言葉に「何でだっ!」と叫ぶが ごほんと気を取り直したように咳払いをする
「感謝してんなら今から言う俺の言う事を聞けっ!」
「お金以外と許容範囲ならいいよ」
金なんかいらねーよっっ!と言いながら華の肩をガシっと掴んだ
「え?なに?」
「俺のこと名前で呼べや」
「呼んでんじゃん、何をいまさら」
「違ぇーよ!下の名前だよ!何でクソデクは名前で呼んでんのに俺は苗字なんだよ!」
「だって昔からのくせだし、爆豪くんは爆豪くんだし・・・・・・」
肩を掴まれて目を泳がせながらゴニョゴニョという姿も可愛いが今はそれどころじゃない
「遠いんだよ、こんな近くにいてやったのに距離が遠いんだよっ!」
そう叫ぶと両手を壁に付けて華が逃げ出さないようにした
「ち・・・・近い近い近い!距離間距離間っ!」
顔を赤くしながら必死で爆豪の胸を押し戻すがビクともしなくて
「勝己って呼べよ、じゃないと出さねーぞ!」
「どんな脅しよっ!わかった!分かったから!〜勝己!」
初めて呼ばれた自分の名前に感動していると、緩んだ腕からスルリと華が抜け出た
「これからは勝己以外は殺すぞ」
「あ・・・あんたが死ねぇぇ!!馬鹿ぁぁぁぁ!!」
そう叫びながら走り去ってしまった
残された爆豪は腕に残った感触と名前を呼んでくれた嬉しさを噛みしめるのだった
なぁ、これからもお前を守るっつったらアイツは俺だけ見てくれるか?