第9章 不可抗力〜共通〜
出久は言い渋る様に口を開いた
「華ちゃんの個性、その、誘惑の個性なんだ。こう、緊張とか動悸がすると勝手に出てきちゃって」
「あぁ、だから、あの花の香り・・・・」
出久の言葉に納得した、あのクラクラとした感覚はそのせいなのだと
「ん〜最近は上手くコントロール出来る様になったって喜んでたんだけどなぁ、痣が出るくらいって・・・・」
「その痣ってこう首に出る赤い花の事か?」
そう言って轟は自分の右側の首をちょんちょんと指した
「うん、そうそう。あれ触られたり触ったりすると発動しちゃうから触らない様にしてるみたい」
まぁ、そうそう首を触ってくる人なんていないけどねぇと彼女は笑って言ったそうだ
「・・・・触っちまった」
自分の手を見ながら呟く様子に2人は同時に目を見開いた
「えぇっ!!触ったの!?っていうかそもそもそれはどんな状況!?」
「はぁ?!お前やっぱ死んで来いやぁ!!」
矢継ぎ早のように言われる言葉に じゃあ、あの感情は当てられたせい?ぐるぐると巡ってくる思考に爆豪が釘をさす様に怒鳴った
「いいかっっ!お前の今持ってる感情はアイツの個性の所為なんだよっ!変な勘違いすんじゃねーぞ!この半分野郎っ!」
そう言うと、チッと舌打ちしながら帰って行った
「あの・・・轟くん?かっちゃんの言う通り、華ちゃんの個性に当てられた人はみんなそうなるから、その内元に戻るよ」
そう言うと出久も帰ってしまった
取り残された轟は本当に個性だけの気持ちなんだろうかと
ぎゅっと拳を握りしめて華が走り去った後を見つめた