第38章 真相
「清十郎さん…その子は?」
華が指さして訪ねた人物は清十郎の道着をぎゅっと握りしめながら隠れるようにこちらの様子を見つめていた
「ほら、ちゃんと挨拶して」
優しい声色で清十郎は隠れている子の頭に手を置いた
「あの…や…柳小春です…」
「僕の娘」
「「「「娘っ!?」」」」
小春と名乗ったその女の子は髪をポニーテールにしてピンクのワンピースを着ているとても可愛らしい女の子だった
「おいアンタ 結婚してたんか」
「僕は愛妻家だよ」
「華は知ってたのか?」
「え?勿論 結婚式お呼ばれしたもん」
そうか、だから華ちゃんは柳さんに歯の浮くような台詞を言われてもケロっと躱していたのかと今更ながら納得した
「お子さんが産まれたって葉書は来てたけど…こうやって会うのは初めてだよね」
そう言いながら清十郎の後で恥ずかしそうにしている小春に目線を合わせるように華はしゃがむと にこっと笑いかけた
「初めまして小春ちゃん、私はお父さんのお友達の華っていうの 仲良くしてね」
手を差し伸べて挨拶するとおずおずと遠慮がちに手を置いてきた
「…パパと仲良し?」
小さな声で探るような視線に華は「うん、仲良し」と笑顔で言った
「僕に似て可愛いだろう?あっ勿論奥さんにも似てるんだよ」
まるで親バカ炸裂させたようにデレデレと話す清十郎は雄英で教えていた姿が想像出来ないような溺愛振りであった
「あらあら、あんまりそのニヤけた顔を見せるから他のお弟子さん達からも威厳がないって言われるのよ」