第35章 イレギュラー
「ほらっ、華ちゃんこっちこっち〜」
「わわっ、三奈ちゃん早いよっ」
手を引っ張られて連れてこられたのは大型ショッピングモールの一画にあるクレープ屋さんだった
時は遡ること数日前
「えっ?お出掛け?」
「そうそうっ!雑誌で美味しいクレープ屋さんができたんだって みんなで行ってみない?」
そう切り出して来たのは食後のお茶を女の子で飲んでいた時だった
「今日は美味しい紅茶が手に入りましたのっ!」と嬉しそうにする百々ちゃんのお誘いを受けてお茶が振る舞われた
その芳醇な香りと味に舌鼓を打ちながら思い出したように見ていたであろう雑誌を拡げて指差す三奈に興味津々に周りは食いついた
「お…美味しそうやなぁ」
目をキラキラと輝かせて食い入るように雑誌を見つめるお茶子の横で「そうね、丁度もうすぐ日曜だし、みんなで出掛けるのも悪くないわね」
ケロっと言うように頷く梅雨に「じゃあ決まり〜!」と元気よくはしゃぐ三奈に華はとまどいがちに声を掛けた
「あの…それって私も入ってるのかな?」
「えっ!?華ちゃん行かないの?」
華の言葉に1番に反応したのはお茶子であった
「あっ…いや、そうじゃなくてクラス違うのに混ざるのは悪いかなぁと…」
「何言ってるの?クラスは違うけど私達はお友達じゃない、お友達と出かけたいと思うのは自然な事でしょう?」
そう言いながらニッコリと笑う梅雨の様子に華は照れたように笑った
そんなこんなで日曜日予定がある女の子達を除いてゾロゾロとショッピングモールへと赴いたと言う訳だ
「あっ!ほら華ちゃん!クレープ屋さん発見 行こ行こっ」
「わわっ!三奈ちゃん早いよ〜」
グイグイと引っ張る三奈に慌てるように付いていく華達の姿に百々が慌てて声を掛けた
「芦戸さんっあんまり急ぐと人にぶつかってしまいますわっ」
「だ〜いじょうぶ大丈夫、私 ぶつからないから…」
そう言って後ろ向きで歩いていた三奈はそう自信満々で返した瞬間にドンっと肩がぶつかった
「「 あ 」」